モリゴローの雑記帳

英検準1級を目指すアラフィフお父さんのブログ

違くない

中学生の娘が「それ、違くない?」と言っていました。

アラフィフの私はものすごく違和感があるのと、むかし漫才で太平サブロー・シロー(だったかな?)が「好きくない」と言って「好きくないって何だよ」と突っ込まれていたギャグを覚えています。

ところが、NHKで2004年度に放送された「日本語なるほど塾」に「違くない」の解説がされていたことに最近気づきました。

まず、2004年(平成16年)にすでに若い人たちが使う言葉とされているのに衝撃を受けたのですが、それは置いといて、若い人たちは文法的に誤りであることは知っていても、正しい言い方を知らない人が多かった、というところにまたびっくり!

では、文法的に言うと、「違う」は動詞です。
したがって、活用は次のとおりになります。

 

違わない 違った 違って 違う 違えば

 

それなのに、何故「違くない」と言ってしまうのか?

通説は、形容詞の活用と混同しているからではないかとされています。
「違う」は、何かが動くことを意味するのではなく、「同じでない」という状況を説明する時に用いられるので、意味としては形容詞に近いと言えますね。ちなみにdifferentは形容詞ですね。

 

例えば、「高い」は、

高くない 高かった 高くて 高い 高ければ

 

この形容詞の活用を動詞「違う」にもあてはめてしまうと、

違くない 違かった 違くて 違う 違ければ

となってしまいます。

 

もう一つの説は、方言説です。
東北や北関東の一部の地域では60代、70代の方が使っていたという研究成果があるようです。


もう一つの説は、幼児語説です。
子供たちが「ボク、にんじん好きくない」と言います。
子供たちは大人の話す言葉を聞いて規則性を発見します。それが形容詞の否定形「~くない」です。
「~くない」がつけば否定の言葉になるということに気づいた結果、形容詞だけでなく動詞や形容動詞にも「~くない」をつけたというのです。

下の小学生の娘は「これ、すれない。」と言います。「これ、することができない。」という意味で使っていますが、さ行変格活用である動詞「する」を下一段活用で使い、さらに可能を表す助動詞を加えていると思われます。
その都度正しい言い方を教えていますが、なかなか直りませんね。

 

言葉は時代とともに変わっていくものです。
「違くない」がすでに15年も若者に定着しているのであれば、これも正しい日本語とされる時が来るのかもしれません。